文字化できるところはすべてAIが担当する。では、文字化できないところとは何か?
人間の仕事は、どこまでAIに奪われるのだろう。
私は、文字化できる仕事は、いずれすべてAIが担当するようになると考えている。
文章を書く。数字を分析する。予定を組む。顧客に返事をする。さらには、経験豊かな社員の勘や判断さえ、言葉に置き換えられるなら、AIは学習し、再現するだろう。
では、文字化できないものとは何か。
例えば、誰かに荷物を届けるという行為。
住所も、時間も、料金も、配送経路も文字化できる。配車の判断だって、やがてAIの方が優秀になるかもしれない。
しかし、荷物を受け取った人の表情を見て、思わず「間に合ってよかったですね」と声をかける。その一瞬の温度は、果たして文字になるだろうか。
いや、言葉にはできる。しかし、言葉にできることと、その場で本当に感じることは違う。
人間には、説明できない行動がある。
困っている人を見ると、頼まれもしないのに手を貸す。損をするとわかっていても約束を守る。合理的な理由もなく、誰かのために遠回りをする。
これらも、後から説明することはできる。だが、その瞬間に人を動かした何かは、説明より先に存在している。
私は、それを「心」と呼びたい。
もっとも、AIが心を持たないと断言するつもりもない。いつか人間と見分けのつかない優しさを示す日が来るだろう。
それでも、雨の中を走るライダーの濡れた背中や、重い荷物を抱えて階段を上がる息遣いには、画面の中の知性とは異なる現実がある。
バイク便という仕事は、情報ではなく、物を運ぶ。
そして物には、重さがある。温度がある。壊れやすさがある。何より、それを待っている人がいる。
AIがどれほど進化しても、最後の一メートルを誰かが歩かなければ、荷物は届かない。

これからの企業経営は、文字化できる仕事を徹底してAIに任せ、文字化しきれない現実に人間の力を集中させることになるだろう。
そのとき、人間の価値は、知識の量ではなく、誰かのために実際に動けることに宿る。
AIが賢くなるほど、人間には人間の仕事が残る。
いや、残るのではない。
ようやく、人間にしかできない仕事が見えてくるのである。

「運び続けて38年・人と荷物に優しいバイク便」
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